叱り方にはコツがある(読書)『叱り方がうまい親の習慣』 多湖輝:著

叱り方がうまい親の習慣 (中経の文庫)

叱り方がうまい親の習慣 (中経の文庫)

叱り方にはコツがある(読書)『叱り方がうまい親の習慣』 多湖輝:著

 目次

はじめに 「叱らない叱り方」のコツをつかもう

第1章 「考える力がつく」叱り方のルール
	1 「こうしなさい」は逆効果
	2 "Iメッセージ"で伝えよう
	3 親の気持を態度で示そう
	4 "締切り効果"を利用しよう
	5 「ごめんなさい」ですまさせない
	6 まず親のほうから素直に謝ろう
	7 "オープン・システム"を試してみよう
	8 小さな声でゆっくり話そう
	9 一日中、叱り続けない
	10 "心理的慢性化"を防ごう
	11 親より他人の一言のほうが効果的
	12 悪いことは他の子でも叱ろう
	13 「お父さん」を持ち出さない
	14 メリハリのある叱り方をしよう
	15 "いじめ"をやめさせるいちばんの方法
	16 "男の子・女の子"を基準にしない
	17 "いい・悪い"の判断を押しつけない
	18 子どものうそをやめさせるコツ
	19 ほめすぎの落とし穴に注意しよう
	20 学校を休みたがる子にはこう接しよう

第2章 「我慢強い子になる」叱り方のルール
	21 約束はきちんと守らせよう
	22 "宣言効果"で計画を実行させよう
	23 小さな目標達成を積み重ねさせよう
	24 欲しいものを安易に買い与えない
	25 時間を守ることの大切さを教えよう
	26 イチロー選手の話をしてみよう
	27 体罰は決してしてはいけない
	28 父親と話し合う機会をつくろう
	29 両親の対応は違っていてもいい
	30 ときには感情的な"激怒"も必要
	31 "怒り"の感情を出してもいい
	32 要求は条件付きで受け入れよう
	33 "要求"より"欲求"を見抜こう
	34 泣く子には"カタルシス作用"で対処
	35 テレビを見る時間はこうして交渉する
	36 わがままの"解禁日"をつくろう
	37 "アメとムチ"を使いわけよう
	38 「あなたを信じている」と伝えよう
	39 "叱らず叱る"テクニックを使おう
	40 子どもの失敗を自分の問題と考えよう

第3章 「やる気が育つ」叱り方のルール
	41 ライバルに負けたとき、こう伝えよう
	42 「ダメ」「バカ」の言葉を浴びせない
	43 "苦手"を叱るより"得意"をほめよう
	44 "共有できる話題"で話をしよう
	45 成績よりも"努力"を基準にしよう
	46 "応えの探し方"を学ばせよう
	47 親子の"心理的距離"を縮めよう
	48 勉強は自分自身のためと理解させよう
	49 自分で決めた将来の夢を応援しよう
	50 "散漫力"を生かした勉強法を教えよう
	51 叱ったあとにはフォローを忘れない
	52 叱ったこととは別のいい面をほめよう
	53 叱るタイミングを見極めよう
	54 "引っ込み思案"はこう返上させよう
	55 "直球勝負"より"変化球勝負"をしよう
	56 過去の失敗は絶対に持ち出さない
	57 いやがる習い事は無理強いしない
	58 道草は厳しく叱らず、大目に見よう
	59 できたことをほめて、ヤル気にさせよう
	60 叱るときは必ず子供の目を見よう

第4章 「行動力が伸びる」叱り方のルール
	61 手伝いの頼み方のコツを身につけよう
	62 てきぱき行動できるよう導こう
	63 まず親から先に行動してみよう
	64 勉強すれば"得"になる例を示そう
	65 プラスの暗示で自信を持たせよう
	66 できることをまず評価してやろう
	67 要領が悪い子にはこうして教えよう
	68 「ぐずぐずしないで」は芽を摘む一言
	69 "気がきく"手本を親が見せよう
	70 子どもの決断に口出しをしない
	71 いけないことを改めさせる、この一言
	72 "外向型・内向型"で叱り方を変える
	73 失敗より、できたことに目を向けよう
	74 できない子にする"過保護"に気づこう
	75 暴力をふるう子でも決して見放さない
	76 "思いやりのある子"に育てよう
	77 "付き合い下手"を克服させよう
	78 迷子になったら、ほめてやろう
	79 反抗心をいい方向にむけてやろう
	80 あえて"痛い思い"を経験させよう

第5章 「自立心が高まる」叱り方のルール
	81 決して兄弟を比較して叱らない
	82 兄弟げんかの仲裁には入らない
	83 上の子を上手に使おう
	84 子供のけんかは観戦しよう
	85 第三者の前で子どもを叱らない
	86 「勉強するな」と言ってみよう
	87 子どもに勉強を教えない
	88 親も自分の時間を持とう
	89 "泣ける場所"に親は立ち入らない
	90 子どもをわざと挑発してみよう
	91 言い訳は先回りして封じ込めよう
	92 子どもに"冷却期間"を与えよう
	93 言い訳をいったん受け入れよう
	94 このいたずらには、こう対処する
	95 「クソババア」の真意をくみ取ろう
	96 ときには叱らず無視してみよう
	97 自己主張ができたときはほめよう
	98 子どもに他の子を注意させてみる
	99 入学・進級を機に自覚を持たせよう
	100 "転ばぬ先の杖"はきっぱりやめる



小さな声でゆっくり話そう

 子どもを叱るときに、声が枯れるほどの大声を上げて、感情的な言葉を並べ立てるというやり方を繰り返していると、子どもの反抗心をあおることはあっても子どもの素直な気持ちをとらえることはできません。
(中略)
「あなたは、自分がしたことをどう思うの」と、静かな口調で、それも小さな声でゆっくり話をすると、子どもは案外素直に親の言うことに耳を傾けるようになり、自分自身の非を認める気持ちにもなるのです。
 "小さな声でゆっくり叱る"ことは、子どもの傾聴を促すだけでなく、親自身が理性的になり、話の内容に説得力が増すというメリットもあります。

いじめをやめさせるには

 子どもにいじめをやめさせるには、家庭で擬似的に、いじめられるつらさを経験させることが、一番の早道だと私は考えています。(中略)ある程度本気でやる必要があります。やむを得ず行う"殴る・蹴る"も、子どもが痛いと感じて、「やめて」と訴えるくらいに本気でやってこと、殴られたときの痛みと、そのつらさを子どもに実感させることができるのではないでしょうか。
 子どもが痛がるほど殴ったあとに、「どんな気持ちがした?」と聞いてみると、子どもは、「いやな気持がした」とこたえるでしょう。
 そうしたら、「いやだったよね。じゃあ、この前あなたにたたかれたお友だちはどんな気持ちがしたかわかる? この次もお友だちのことたたく?」と重ねて聞くと、いじめられることのつらさを知った子どもは、「ううん、もうしない」と答えるはずです。

約束はきちんと守らせよう

 子どもの三日坊主の原因は、お母さんの対応のまずさにもあります。子どもがどんな理由をつけて頼んでも、お母さんがそれを認めなければ、子どもは仕方無しに自分でその日課をこなすようになります。(中略)一度でも「今日だけよ」と言って例外を認めると、一度が二度になり、三度になり、子どもの約束は約束でなくなってしまいます。約束に例外を認めないことが、子どもを三日坊主にんさせない秘訣です。

欲しいものを安易に買い与えない

「子どもがかわいそう」という理由だけで、安易に子どもが欲しがるものを買い与えてしますと、子どもは、「頼めば買ってもらえる」と思い、自分の欲求を我慢する努力をしなくなってしまいます。そして、欲しいものが手に入らないときには、不満を感じ、ひいては親に反抗するようになるのです。
(中略)
我慢させることは、子どもに忍耐力をつける妙薬なのです。
(中略)
我慢させることがあまりに酷だという場合には、「次のお小遣いからこの分はひいておくね」と、"前借り"というかたちにする手もあります。
 あるいは家の手伝いをさせて、それを"報酬"として子どもに渡すのも一法です。子どもは、お小遣いがピンチになったときには、一生懸命に家の手伝いをするようになり、お金の大切さや"稼ぐ"ことのたいへんさを実感さを実感させるよい機会にもなります。

あえて"痛い思い"を経験させよう

子どもの忘れ物の尻拭いをする母親は多いようですが、"子どもがかわいそう”とおいう理由で、これを続けているといつまでたっても子どもの忘れ物はなくなりません。(中略)
子どもに忘れ物をなくさせようと思ったら、この母親への依存心を断ち切ることが大切です。うまり、子どもが忘れ物をしても、絶対に母親が届けなければいいのです。そうすることで、子ども自身に緊張感が生まれ、忘れ物が減っていくことは間違いありません。
(中略)
子どもの自立心の欠如は母親のせいとも言えるのです。

兄弟げんかの仲裁には入らない

 兄弟げんかを減らしたいと思ったら、それが危険を伴う場合は別として、基本的には、けんかの仲裁はしないことです。
 そもそも兄弟げんかはなぜおこるのでしょうか。その原因は、単純な子どもの欲求のぶつかり合いと受け取られがちですが、実はそうではありません。子どもはけんかをすることによって、"母親の関心"を自分に向けようとしているのです。
 つまり、子どもは目の前の"物"の奪い合いのためではなく、"母親の愛情"の奪い合いのために献花をすると行っても過言ではありません。
(中略)
けんかをやめさせようと、母親が仲裁に入ったとします。このとき子どもは、母親がどちらの肩を持っているかがきになりますから、母親の態度や言葉からそれを探ろうとします。
(中略)
いつも親の愛情を受けたいとい思うのが子どもですから、兄弟げんかが絶えることはありません。その意味では自然現象とも言えますから、干渉しないことです。どうしても、兄弟げんかを見てみないふりができないというのなら、兄弟げんかが恥じあったら外出をしてしまうというのも一法です。

子供のけんかは観戦しよう

 けんかをすることは、利害が相反する相手があること、自分の要求がすべて通るわけではないこと、妥協することの大切さを自然と身につけることであり、人が生きていく上で欠かせない社会性・協調性を身につけていくことにほかなりません。

子育ての基本はいつもいっしょにいる母親がいかに子どもを導いてあげれるかが大切。父親はこどもと接する機会はすくないが、逆にときどき叱ることにより、母親の叱りよりも影響力をもつことができるそうなので、うまくくみあわせないといけない。
夫婦間の対話が大切ですね。基本コンセプトを共有して子どもに接しないと、この本にかかれているようにうまくいかないと思う。
 方向性だけブレないようにして、あとは外でいろんな経験をしてもらって、しっかり育ってもらいたい。日本の親は、子どもを自分の分身ととらえることがあり、過保護になりがちだという。子どもを別人格をもった個体として認識し、過度なおしつけ教育はしないようにしたいものだ。
 経済的合理性だけ考えると、子どもは負債になるとどこかの本で読んだが、そんなことはない、子育てを通して親も成長できる、それを実感しはじめている。