- 作者: 山田吉彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03
- メディア: 新書
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ちょうどタイムリーな一冊。2005年の本なんでちょっと古いんだけど、よくまとまってると思います。領土問題の知識がとぼしいのでとてもためになりました。
尖閣や竹島、北方領土についてささっとよめて、参考になりました。著者は日本財団の職員らしい。読んでると、領土問題は実行支配してナンボの世界だってことがわかった。「不法占拠なんて国際世論が認めん!国際裁判所で白黒つけよう!」っていったって、通用しないってことです。みんな生きていくので精一杯、他国の領土問題にいちいち干渉する余裕なんてないですから、当然ですよね。国際司法裁判所に申し入れるってのも、両国の同意がないとできわいらしく、竹島問題では 日本が申し入れたけど韓国が拒否したのでだめらしい。
読んでたら、北方領土と竹島はもうムリっすね。著者も愛国者っぽい論調で正論をいっているようだったけど、北方領土と竹島についてはあきらめムードだった。どちらも戦後日本がバタバタしているとき、するするっと実行支配されちゃってて、タイミングが悪かったのと、取り返そうという意思が弱く、遅きに失した感がありあり。北方領土なんてロシア人がもう60年もすんじゃってるらしく、日本が実行支配していた期間よりながくなってて、もうロシア文化の土地らしいっすよ・・・。
最南端の沖ノ鳥島は岩か島かの議論がされているほどショボイところらしい。海の水位があがったらあっさり沈んでしまうレベルらしい。いまはコンクリートとチタンで補強しているらしいけど、反日的な連中にダイナマイトでも仕掛けられようものなら、あっというまになくなってしまうんだろうな。かといって、人が定住するようにするには、コストパフォーマンスが悪そう。周辺国民の善意だのみになってしまうのもなんとなくわかるなぁ。
あとは尖閣諸島しかない。もうこれは死守するしかない。いまのところ、尖閣諸島の持ち主は国と、埼玉在住の個人らしい。ちょっと国が一括管理して、軍港にするなり、鰹節工場を復活させるなりしないと、中国の驚異がやばいっす。彼らは善意を期待できるほどの民度は持ちあわせていない感じだから、ほんと、守る気でいかないと、あっというまに取られちまうよ。ガス田開発も実際に中国側のほうが積極的だし、日本もしっかりしないと、そっちに回せる金がないってのは分かるけど、そのへん優先順位をつけてばらまくのが政治でしょ、しっかりやってくれ。
あと、著者がなげいていたのが、日本には海洋政策がないってこと。海上保安庁と海自の連携もとれてないし、どちらも官僚型の指示系統で、意思決定から行動までに恐ろしく時間がかかるのが難点らしい。そのへんをスパッとやらないと、排他的経済水域は世界で6番目の大きさなんですって。日本全然小さな国じゃないよ、大国じゃん。頑張っておくれ。
とりあえず、課題は見えてるんだから、議論を先送りしないですぱっとやっておくれ。
- 核保有の議論
- 売国教育の停止
- 原潜配備
こんくらいやっとれば毅然とした態度で領土問題でいちゃもんつけられても実りのある対話ができるっしょ。「〜は我が国固有の領土であることを前提に粛々と対応します」なんて言葉で逃れるのはダメです。
評価:★★★☆☆