お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 橘玲:著

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 橘玲:著

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門

ちょっと古い本ですが、非常に参考になりました。節税の本です。いつかサラリーマンをクビになって自営業者になったら、節税を楽しみたいですね。永遠の旅行者とやらになってみたいもんですよ。

【目標】
Goal
真に自由な人生を生きること。

【自由】
Liberty
何ものにも束縛されない状態。

【経済的独立】
Financial Independence
誰にも、何ものにも隷属せず、自由に生きるのに十分な資産。

【近道】
Shortcut
最短距離で目標に到達できる、少数の人しか知らない方法。

【黄金の羽根】
Golden Feather
制度の歪みから構造的に発生する"幸運"。手に入れた者に大きな利益をもたらす。

 もったいぶらずにお教えしましょう。これが、金持ちの方程式です。

資産形成= (収入-支出)+(資産x運用利回り)

 足算と引算と掛算だけでできた、小学生にでもわかりそうな方程式です。しかし驚くべきことに、世界じゅうの人々を虜にしてきた「金持ちになりたい」という夢が、このたった1行に凝縮しているのです。
 この方程式から、金持ちになるには、次の3つの方法しかないことが分かります。

  1. 収入を増やす。
  2. 支出を減らす。
  3. 運用利回りを上げる。

 アメリカの富裕層を長年にわたって研究しているトマス・J・スタンリーによれば、金持ちのほとんどは質素な生活をしています。「金持ちはケチだ」とよく言われますが、これは論理が逆で、「ケチだからこそ金持ちになれた」のです。目の前に、確実に資産を増やす方法があるにもかかわらずそれを実行しない人間が、資産形成に成功できるはずがありません。
 宝くじで大金を当てた人の大半は、浪費癖によってけっきょく貧乏に戻ってしまうのです。

 住宅ローンで持ち家を購入した人は、そこですべての資産運用が終わっています。
 もちろん、持ち家を売却してローンを完済できる場合は、身の丈にあった賃貸に切り換えることも不可能ではありません。含み損が生じていても収入が安定していれば、いったん不動産を売却して損失を確定させ、「買い替え特例」を使って譲渡損失を3年にわたって繰越控除し、所得税を安くする方法もあります。しかしたいていは、"資産運用"などとは何の縁もなく、ひたすら住宅ローンを返済し続けるしかできることはないのです。

 これから新たに保険に加入する場合でも、共済系3社を組み合わせれば、ほとんどのニーズ対応可能です。これらはもともと保険料が安いうえに、決算後の利益を保険加入者に還元しているので、割高なうえに契約者配当もない国内大手生保の商品と比較するとコストは半分程度まで下がります。共済に入っておけば、生命保険など必要ない、とも言えます。
 経済紙誌は生命保険会社が広告の有力なクライアントなので、圧倒的な価格競争力を持つ共済系保険についてはほとんど触れません。そのため認知度が今ひとつ上がらないようなので、ここで紹介しておきます。

 実は、国民健保の保険料を払わないというのは、かなり合理的な選択です。中途で加入しても過去に遡って保険料を請求されることはないので、年をとって身体の調子が悪くなってから加入すれば、生涯の保険料負担をかなり減額できるのです。
 もっと大胆に、病気になってから加入手続きをとることも可能です。病院には「保険証をなくした」と言っておいて、その後で市町村役場に行き、国民健康保険証を発行してもらえばいいだけだからです。文句のひとつくらい言われるかもしれませんが、保険証はちゃんと発行されます。「国民皆保険」の原則がある以上、行政は未加入社の申請を拒否することができないからです。
 さらに、保険証を受け取って、保険料を払わずに済ますこともできます。保険料未納を理由に、保険証が使えなくなることもありません。
 督促がうるさくなってきたら、別の市町村に引っ越すという方法もあります。これでまっさらな保険証が手に入り、過去の未納記録はなくなります。なぜこんな不思議なことが起きるかというと、国民健康保険は各自治体が運営しており、データベースが共有されていないからです。
 「国民皆保険」の原則に縛られている自治体は、保険料未納者から保険証を取り上げることができません。そこで、「せめて分割払いでもいいから保険料を納めてくれ」と相談をもちかけることになります。この交渉で、保険料は半額になります。適当な理由をつけて分納を申し出れば、保険料が十分の一になることも珍しくないと言います。

これは過激な技だ。給食費未納と同じで世間にしれたらヒナンゴウゴウだろうな。もちろん給食費未払いが合理的なんていう気はさらさらないです。給食費もなんで先生が徴収するのか意味分からない。最初ッから学費に含めておけばいいのに。これも「制度の歪み」を利用されちゃってるんだろうな。制度さっさとなおしていけばいいのに。bugがみつかったらバク修正のパッチ作って適用、これは常識でしょ。

 このように、公的年金や健康保険の財政が悪化すればするほど、構造的にサラリーマンは簒奪され、自営業者はますます有利になっていきます。
 解決策は、少なくともふたつあります。
 ひとつは、公的年金も健康保険制度もやめてしまうことです。老後の保障はすべて国民一人ひとりの自己責任に任せ、国は税制上の優遇策だけを用意し、誰もが努力した分だけを受け取るようにすれば、すべての不平等は解消します。
 この方法はがあまりに過激なら、平均寿命を超えた人にだけ年金を支給することも考えられます。寿命は本人の自由にならず、長生きするリスクは誰もが抱えいているわけですから、そのために税金が使われるなら誰も文句はないはずです。年金の支給年齢を男性80歳以上、女性85歳以上にすれば、国の負担は大きく減額され、高齢化が進んでも公的年金制度が破綻する心配はありません。
 同様に医療保険も、特定の専門病院による高額の医療費のみを国が補助し、それ以外はすべて本人負担にします。個人の意志や努力ではどうしようもない難病の治療に税金を投入することにも、異論は少ないはずです。一般の医療費が全額患者負担になれば、医療に競争原理と市場原理が持ち込まれ、今よりずっと低価格で高品質のサービスが受けられるようになるでしょう。
 しかし、政治的にはこうしたラディカルな解決策をとることは不可能です。それによって既得権を奪われる人たちがあまりに多いからです。
 年金や健康保険
を税とは別に徴収するのをやめて、すべてを消費税(福祉目的税)で賄うのなら、まだ現実的です。消費税には低所得者層ほど負担が大きくなる「逆進性」があると批判されますが、それでも現在の、サラリーマンと自営業者との間の極端な格差(というよりも、サラリーマンに対する職業差別)を放置しておくよりずっとマシです。
 しかし、公的年金や保険制度を税方式に変えるというこの現実的な解決方法も、厚生労働省の頑強な反対で、実現は極めて困難でしょう。厚労省の官僚とその利権に群がる政治家たちが、莫大な保険料が財務省の管理下におかれることを絶対に認めないからです。
 こうして、現在の制度の矛盾は、年金や健康保険制度が完全に破綻するまで続くことになるのです。

 民主制国家では、富の再分配は、国民から負託を受けた政治家によって決められます。政治家は地元の選挙民の投票によって選ばれますから、彼らの喜ぶ行動をとらなければ選挙には勝てません。世界情勢や国家の行く末よりも、ほとんどの人は自分の生活が大事ですから、金(仕事)を持ってきてくれる政治家に投票します。こうして政治、再分配の争奪戦になります。
 政治学では、これを「民主制のコスト」と呼びます。民主制はおそろしく非効率なシステムですが、それでも"効率的"な独裁国家や中央集権国家よりずっとマシだと考えるのです。
 私たちがまじめに税金を払っても、その大半は無駄に使われていくだけです。なぜなら、民主制国家はそうした無駄を前提に機能しているからです。それを効率化しようと思うなら、独裁者に国を任せるしかありません。

 こうした流れを見越して、一部のでネット証券では積極的に法人口座開設を行っています。これは自営業者だけでなく、サラリーマン投資家も検討に値する方法です。
 たとえば「有価証券の売買」を定款に加えた法人を設立し、自宅に登記します。この法人は、ほうっておいても、事務所として使用している自宅部分の家賃や電気・ガス・水道・電気料金やインターネット接続料・新聞図書費などの諸費用の分だけ赤字になっていきます。その額を仮に月額20万円とすると、1年間の赤字は240万円にります。ただしこの赤字は法人がなければ個人の費用で支払ったものですから、実際に追加負担が必要なのは法人住民税<7万円>などのランニングコストだけです。

 個人が株式投資で年100万円の通産利益をあげた場合、特例措置の適用外であれば、翌年3月の確定申告で20万円(100万円x20%)の税金を納めることになります。一方、年間240万円の赤字を生む法人の口座なら、同じ利益でも非課税です。差額は20万円ですから、7万円のランニングコストを考慮しても十分元はとれます。仮に投資損益がマイナスになっても、法人の赤字は5年間繰越し可能ですから、翌年の非課税枠が大きくなります。
 それに加えて、先に述べたように、法人は配当の50%を益金不参入ニスことができます。株式投資は、赤字法人を有効活用することによって、その利益を最大化できるのです。

 売り上げ1000万円程度の個人事業主でも、年に100万円位の裏金は自然に生まれます。こうした少額の裏金は、ふつう、日々の生活費の支払いに充てられます。
 裏金で生活していると、銀行に振り込まれた給与は使う必要がありませんから、口座にお金がたまっていきます。たまった表金は、法人に貸し付けて、法人口座で運用します。
 こうして、法人の裏金を個人の表金に変換し、それを法人口座に貸し付けるという、原始的なマネーロンダリングが完成します。これで法人を赤字にすれば、貯まった利益を無税で運用することができます。

 一方の法人は、設立月を基準に、1年を超えない範囲で好きな時に決算月を設定することができます。日本の企業はほとんどが4月から翌年3月を1期としているので、中小の法人もそれに合わせて3月決算になるところが多いようです。これはもちろん、決算の集中で税務署のチェックが甘くなることを期待しているからです。

 たとえば所得税法人税相続税(贈与税)を廃止し、税源を消費税のみにすれば、徴税に関するトラブルはそほとんど解決します。税務署の優秀で勤勉な職員は、もっと意義のある、国民から感謝される仕事に就くことができるでしょう。企業や個人は深刻と納税の手間が不要になって、経済の効率が上がります。少なくとも、社会が今よりもずっと明るくなることは間違いありません。消費税の逆進性を問題にする人もいるかもしれませんが、それは別のセーフティネットで対応すればいいことです。
 しかし現実には、こうしたシンプルな解決方法が採用される可能性はありませ。そんなことになれば、税務行政に携わる多くの官僚が職と既得権を奪われるからです
 こうして、理不尽な徴税システムは税制に対する信頼感を喪失させ、国民の負担と受益の構造をますます歪なものにしていきます。黄金の羽根はその歪みから生まれ、得をする人と損をする人の間に深い溝を穿っていきます。