『「中卒」でもわかる科学入門』小飼弾さん

ダン・コガイこと、小飼弾さんの本。科学に興味持ちましょう、四則演算できて単位にだけ気をつけてれば専門家(科学者)の言ってることがわかるし、つっこみもいれれますよ、という内容。

あなたにとっての科学技術が、対岸の火事ではなく他山の石となったなら、それにまさる著者の喜びはありません。
(p.6)

かっこいい表現。いつか使ってみたい。

 アメリカ南部の多くの州立学校では、進化論を教えることが制限されているそうです。『利己的な遺伝子』で知られる進化生物学者のリチャード・ドーキンスは、著書『神は妄想である−宗教との決別』の中であらゆる宗教を批判し、科学的思考の重要性を説いています。神というものを信じる人を信じぬ人も、もはや避けては通れぬ感のある同書ですが、最初の数章は、日本人からしてみると呆れるほど、初歩的な議論に費やしています。こんなに頭の切れる人に、こんな時間つぶしをさせて大丈夫なのかと心配になるくらいです。ドーキンスを日本に連れてきたら、きっと「日本人は話が早い」とうらやましがることでしょう。
(p.16- 17)

『神は妄想である』読んでみたい。進化生物学、面白そう。

その一方、経験的な叡智を無視していると思われる法律もあります。その最たるものは、著作権法でしょう。著作権著作権者の死後50年(米国では70年)存続となっていますが、数十年たったらいきなりプツッとなくなってしまうというのは、人間の心理特性や経済性からすると馬鹿げた話です。私が著作権法を設計するとしたら、減価償却のように、年数に応じて権利の強さが減衰するようにするでしょう。著作物のほとんどは売りだされて最初の1年で代金を回収しているわけで、「年数によって何%割り引かなければならない」という仕組みにすることもできるでしょう。
(p.36)

著作権料も減価償却ですか。それは面白そうですね。

 「原子は、原子核の周りを電子が回っている(正確には違いますが)」と学校で習った人は多いと思いますが、では原子核と原子の大きさはどれくらいの比になっているかご存知でしょうか?原子の半径は10^(-14)m程度。10^(-4)倍、つもり1万分の1もの差があるわけです。原子核をピンポン球とすれば、原子は野球場の数倍にもなります。
(p.72 73)

べき乗にがて。数字だけみてもまったくイメージがわかない・・・。"Powers of Ten"という映画がべき乗を実感するのにおすすめだとか・・・。

人生80年として私たちにはたった25億秒しか時間がないというのに・・・。
 私たちのそれぞれが検証できるのは、それぞれが興味をもつ分野、得意な分野で精一杯。残りは権威に頼るしかないのです。
 およそすべての科学啓蒙書には、「物事を鵜呑みにするな、疑え」と書いてありますが、私はあえてこの主張そのものを疑っています。そんな手間暇がどこにあるのか、と。
 そして実際のところほとんどの場合「ラベル」を「鵜呑み」にしても裏切られることはありません。
(p.105)

ぼくも権威を鵜呑みにするのだいすき。よくやる。


大規模な科学はまだお金がかかって人類にははやい、巨費を投じて科学をやるよりも貧困をなくそう、とうい愛のある提言もありました。素晴らしいと思います。


などなどの科学の目的、問題点に関して、わかりやすく解説してある。面白い一冊でした。