臆病者のための株入門 橘玲:著
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04
- メディア: 新書
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非常にすばらしい株入門書だと思います。ぼくも株始める時にさまざまな雑誌や入門書にあたりましたが、一番最初にこれよんどけばよかったと思います。著者の方も結構研究熱心で、本書の内容をいろいろ検証していたとか。ぼくも金融リテラシーが弱いんでもう少し勉強しないといけないですね。今年に入ってから2冊目の橘玲さんの本、なんかくせになる文体というか、読んでいてここちいい。
今年6冊目。
以下引用中心の読書メモ。
20代無職の男性が「金融のプロ」を天文学的なレベルで上回る成績をあげたということは、株がプロの競技ではなく、コイン投げやサイコロにちかい偶然のゲーム、すなわちギャンブルであることを、反論の余地がないほど完璧に証明しているのだ。
もし株がコイン投げと同じなら、「金融のプロ」はよくて占い師か競馬の予想屋、悪くすればイカサマ野郎ということになる。これは、じつに具合の悪い話である。ギョーカイのなかに「ジェイコム男は無視しとこう」という暗黙の了解ができたのは、これまで世間にひた隠しにしてきた自分たちの暗い出自が白日のもとにさらされそうになったからなんじゃないだろうか。
ずばずばいいますね。じつに。
日本のマーケットでは、企業が巨額損失を発表するような場合、2、3日前から株価が下落し始めるというケースがじつに多い。当然、インサイダー取引が疑われるのだが、事件になるのはごく一部だ。
インサイダー取引は重大な犯罪だから、これを自分の証券口座でやるようなバカはいない。妻の弟とか友人の父親とかの名義で目立たない程度に取引されれば、因果関係を証明するのは至難の業だ。もうちょっと大がかりになると、海外の投資会社や証券会社が利用されることもある。こをなると、いったいだれが取引しているのかまったくわからない。たまに表沙汰になるのは、ほとんどが仲間割れか嫉妬による内部告発だ。
ホリエモンの錬金術は、このインサイダー取引を大規模に、かつ巧妙に行ったものといえる。
株でもうけるにはインサイダー取引しかないって風の噂で聞きました。
だが、この行為を即座に悪と決めつけることはできない。彼らは株式市場の制度的な歪みを利用しているだけで、市場の歪みから利益を得る行為は資本主義の原理そのまのだからだ。ホリエモンを否定することは、資本主義を否定することになってしまう。
ここに、ライブドア事件の不思議がある。"日本を揺るがせた経済犯罪"で得をした人達は(もちろん本人を含め)たくさいいるものの、「被害者」がとこにいるのか誰も知らないのである。
なるほど、ホリエモンは悪人じゃないと。株式市場でゲームやって、ちょっと裏技つかったら、それはルール違反です、と逮捕されたわけですね。
たとえば競馬は、控除率25%というきわめて割の悪いギャンブルである。1万円で馬券を買うと7500円から賭け事が始まるわけで、これだけ手数料率が高いと、戦績や血統の分析でわずかに勝率を高めることができたとしても、とうてい利益をだすまでには至らない。「競馬必勝法」は、この世には存在しないのである。
それよりもっと分の悪いギャンブルが宝くじで、こちらは掛け金の半分以上が日本宝くじ協会の収益になる。当然、宝くじを購入した人のほぼ全員が、一生、損をしたまま終わる。「宝くじは無知な人間に課せられた第二の税金」といわれる由縁だ。
「そんなこといったって、宝くじを当てて億万長者になったひとがいるじゃないか」との反論があるだろう。とれは事実であるが、それでもこの議論の正しさは変わらない。宝くじの当選確率は極めて小さく、また一生に購入できる回数も限られているので、どれほど熱心なファンでも統計的に十分な回数をかけることはできない。せしも一等当選者が不死の生命を持ち、その後も宝くじを買い続けたならば、彼は確実に賭け金の半分を失うことになるだろう。「小さなお金で大きな夢がかなう」とい奪い率のマジックによって、数字の苦手なひとたちを幻惑しているのである。
競馬や宝くじのような"悪質"なギャンブルに比べて、デイトレードははるかに勝率が高い。株式売買手数料はいまや投資金額の0.1〜0.01%まで下がり、株式投資はすべてのゲームのなかでもっとも有利なギャンブルの一つになった(実際には利益に対して課税されるため、それが追加コストとなって利回りは引き下げられる。ちなみに上場株式の譲渡所得に対する現在の税率は10%)。
「宝くじは無知な人間に課せられた第二の税金」・・・・すごい言葉ですね。だれがいったのやら・・・・。 数字の苦手なぼくはいいように幻惑されています。なんとなく実感。くやしいけど。
資本主義はけっきょくひとつ
ファンダメンタルズ派(実在論)とテクニカル派(唯名論)の対立は根源的なものなので、一見、合意の余地はどこにもないように思える。でもよく観察してみると、両者はビミョーな関係でむすばれていることがわかる。
ファンダメンタルズ派が割安に放置されている銘柄を手に入れることができるのは、市場参加者の多くがその企業の"本質的価値"に気づいていないからである。逆にいえば、市場にファンダメンタルズ投資家しかいなければ、どの銘柄も割安にはならないのだから、投資機会は永遠に訪れない。このように、ファンダメンタルズ派の正しさを誰もが認めた瞬間に、ファンダメンタルズ投資家は絶滅してしまうのである。
一方、テクニカル投資というのは市場参加者の期待を予測するゲームである。株価が変動するためには、なんらかの要因で期待が変化しなければならない。もっとも大きな影響を与えるのは、原理的に、企業の収益予測(とそこから導かれる本質的価値)しかない。
このように、犬猿の仲に見えるファンダメンタルズ派とテクニカル派は、じつは相互に依存しあっている。企業の"本質的価値"を無視して売買するテクニカル派がいなければファンダメンタルズ派の投資は成立せず、企業の収益予測によんて株価が動かなければテクニカル派のゲームは始まらない。
なるほど。
そんなこんなで、ベンチャー市場のアナリストはみんなライブドア問題に沈黙するしかなくなってしまった。子供だましのような粉飾決算に気づかなかったなら、自らの無能を天下に認めることになる。株価操縦を知っていながら投資家に買いを勧めていれば、犯罪に加担したとして罰せられる。となれば、残された道はひとつしかない。首をすくめて嵐が通りすぎるのを待つだけだ。
ずばっといってしまいましたね・・・。
これからファイナンス理論の核心にあるモダンポートフォリオ理論の話をしようと思う。これは経済学的にもっとも正しい投資法を教えてくれるのだが、際立った二つの特徴をもっている。すなわち、
(1)なぜそうなるのかを理解するのは難しい(少なくとも確率と統計についての基礎的な知識が必要になる)
(2)「経済的に正しい投資法」を実践するのはものすごく簡単である。
そのため(1)を飛ばして(2)だけにすると、話は一瞬で終わってしまう。
インデックスファンドに投資しなさい。
終わり。
ありがとうございました!
確定拠出年金に使われる海外株式インデックスファンドは、日本市場以外の世界の株式に投資するものだ。世界市場における日本株の時価総額は約15%だから、国内株式15%、海外株式85%の割合で資産配分することで、だれでも簡単に世界市場に投資できる。
このように資産運用の手段にさまざまな制約がある確定拠出年金では、ほとんど一本道で「すべてのひとに最適な投資法」にたどり着く。これがぜったい正しいとはいわないが、少なくとも第一選択肢(それも圧倒的に有力な選択肢)にはなるはずだ。
ありがとうございました。確定拠出年金を組み直します!
最後にお断りしておくと、私自身はここで述べたような「合理的な投資法」を実践しているわけではない。
ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ。
ちゃぶだいひっくりかえしたーーー。
長文タイプしている時ってBGMながしとくと集中力上がる。いまんとこ戸松遥さんの"Girls,Be Ambitious" がテンポよくタイピングできる気がする。