2019/04/13(土)快晴。橘玲さんの講演会いってきた! 素晴らしい時間でした!
- 謎めいた存在、というイメージだった橘玲先生
- 生物地理学の市民シンポジウムのゲスト講演
- 場所は知の象徴:東大
- シンポジウムの大まかな流れ
- 「リベラル化する世界の分断」(講演内容 要旨)
- 参加者質問にたいする橘玲さんの回答
- ゲスト登壇者の論評
謎めいた存在、というイメージだった橘玲先生
橘玲さんといえば、マネーロンダリングと海外投資。
小説マネーロンダリングのイメージが強烈で、ミステリアスで素性がしれない人、というイメージでした。
このブログでも橘玲さんの著作を何回か紹介したことがありましたが、筆者もファンです。
最近出た『80’s』で、これまで非公開だった自分についての情報が明かされ(という言うか自伝)、どうやら普通の人間のようだぞ、という親近感が湧いたタイミングで、この講演会ですよ。
http://biogeo.a.la9.jp/meeting/civil/2019%20poster.pdf
サングラスやお面着用で登壇するのかと思いきや、素。
写真撮影禁止ですとかの事前アナウンスもなく、みんなスマホでパシャパッシャ撮ってる。大丈夫か??
生物地理学の市民シンポジウムのゲスト講演
生物地理学会主催のイベントにて。
生物地理学、という学問分野があるんだそうです。筆者も知りませんでした。
生物の種に関して地理的に境界線を引いて、分類するよな学問なんだそうです。(例えば南米と中米はこのライン以北と以南では生息する生物の特徴が違う、とかそんな感じ?)
その生物地理学を扱う日本生物地理学会という団体がいて、毎年一般市民向けに研究成果や団体自体の啓蒙のためにイベントを開いていたようです。
で、日本生物地理学会会長である森中さんが橘玲さんに熱烈オファーをして実現した講演会だったんだとか。
場所は知の象徴:東大
このシンポジウムは本郷にある東大の敷地内の「伊藤謝恩ホール」というところで開催されました。東大ですよ東大。
最寄り駅は丸ノ内線の本郷三丁目。初めてきました。改札すぐ横にサンマルクカフェがあるのがポイント高いです。
シンポジウムの大まかな流れ
- 森中会長あいさつ
- ウェルカムコンサート(ゲストのソプラノ歌手と、テノール歌手でもある森中会長が歌う)
- 生物地理学の関しての簡単な説明(森中会長)
- 橘玲さん講演「リベラル化する世界の分断」(40分)
- (休憩)
- ゲスト登壇者3名による、橘玲さん講演への論評
- 参加者質問への回答(橘玲さん)
- 閉会
- 希望者のみ懇親会
「リベラル化する世界の分断」(講演内容 要旨)
橘玲さんのブログで要旨はよむことができます。
https://www.tachibana-akira.com/2019/03/11583
以下筆者による、勝手なメモ。一部バイアスがかかっていたり、不正確な内容があるかもしれません。
- リベラル化は確実に進んでいる:右傾化はその反動
- 黒人が優遇されていることへのいろんな方面からの反発
- サイバーリバタリアン(シリコンバレー)と リベラルの対立
- 近年の日本25年間で正規雇用は減っていない、非正規と無業者が増えている
- 政府の発表だと日本には100万の引きこもりがいる
- 秋田県の小さな町の調査だと人口3200人のまちで引きこもりが113人いた
- それを日本全国に拡大すると500万人の引きこもりがいるかもしれない
- 引きこもりの男女比は2:1
- 平成とはどういう時代だったか:団塊世代の雇用を守るための時代
- 令和はどういう時代になるか:団塊世代の年金システムを守るための時代
- 非モテが嫌韓、反中になる
- 米国の分断化:主流派だった白人が最下層に、何かが悪いからこうなったんだと主張
- 分断をなくすためのリベラルの施策:左派はベーシックインカム、右派はナッジ(そっと背中をおす、緩やかなフレームづくり)
- 技術革新がすすみ人間が技術を理解できない社会がくるかも:知識社会の次の社会、なにをもつものがアドバンテージを得るのかはわからないが、人間の社会なのでなんらかの階層はできるのでは
参加者質問にたいする橘玲さんの回答
- Q: 私たちはどう生きればいいか
- A:
- 相手を納得させられるような説明責任を果たしていく
- キャリアがあるということは説明責任のコストが低い
- Q: アイデンティティ主義について
- A:
- 善悪ではない。
- リバタニアとドメスティックすの対立
- リバタニアは複数のアイデンティティをもっている人が多いのて適応能力が高い
- Q: ベーシックインカムはなぜ現実的ではないのか
- A:
- 最貧国の女性が日本人男性と結婚し、子どもを生んで現地の日本大使館に申請すればお金がもらえるようになる、日本人男性も働くより、子どもをいっぱい生んでお金を貰おうとする、申請者が際限なく増える=支給額も
- 日本人になる方法は簡単なのでみんな日本人になろうとする
- 本当の日本人じゃない人々を排除していく社会になる
- 本気でやるなら国単位ではなく、全人類むけでやるしか無い
- Q: 日本の未来は?
- A:
- 欧米のながれを見ていれば日本も同じようになることが予想できる
- 人口動態は正確に予測できる
- 団塊世代の年金システムにどう対処するのか官僚に聞いたことがある:具体的な施策はない対処療法で頑張るだけ、という回答。ガダルカナルの戦いのようになる。
- 本を読む人は人口の5%。今日この会場に来ている人は知識社会の上層部の人たち。知識社会ではこの上位5%が幸せのロールモデルをつくる。まずは自分が幸せになって提示する。恵まれた環境に生まれた者の義務。
- Q: なぜ今回講演を引き受けたのか?
- A:
- 数年に1度くらいしか講演はしていない。森中会長の猛プッシュを断れなかったから。
ゲスト登壇者の論評
時系列的には講演と質問回答への間にあるのだが、あまり重要ではないのでさらっと流しておく。
吉川浩満さん(作家)
- https://twitter.com/clnmn
- 知識社会の次の社会に関しての、他の主義などを紹介して補足。即興でまともな論評を披露
神戸和佳子さん(哲学者・教員)
- https://twitter.com/wakako_godo
- ご自分の哲学教育の紹介がメイン、パワポきれい
- 知識社会で成功した女性目線でのもうちょっと突っ込んだ論評がほしかったが不完全燃焼
春日井治さん(学者)
- ご自分の研究分野の紹介がメイン。論評は二言三言だった。
- 春日井さんに悪意があったわけではなく、主催者側が出演依頼したときのコミュニケーションが不十分だっただけと信じたい。
以上